企業イノベーションを実現するのは誰でしょう。社長ですか?イノベーション戦略室長ですか?答えは「新型コロナ」。冗談交じりにこう語られる場面に出会ったことはないでしょうか。その冗談が今、現実になりつつあると言えます。少なくとも消費者の心理・行動には明らかな変化が見えてきています。
図表1. Source: McKinsey & Company 2020年6月29日“Financial Decision Maker Sentiment”のデータをもとに日本語訳とJapanの結果追加。
新型コロナの感染拡大を受け外出の自粛が始まった今年3月、三菱UFJ銀行のインターネットバンキングの新規利用者が前年同月比の3倍、またアプリ経由の口座開設がみずほ銀行では前年同月比の6割増、りそなグループ銀行では2倍だったというように、新型コロナがオンラインバンキング利用を後押ししたことが明らかになっています。
しかしこれは一時的なことなのでしょうか。コロナ収束後の人々の行動がどうなるのかが気になるところですが、今年4月から6月に行われたMcKinsey & Companyのアンケートによると世界各国共通して、コロナ収束後、オンラインやモバイルバンキングを「コロナ前よりもっと利用するだろう」と答えた人が多く、また支店は「コロナ前より利用しないだろう」と答えた人が多くいるという興味深い結果になっています。(図表1)
同上のアンケート調査の中で、自分が利用する銀行やカード会社に何を期待しているのかを問う質問に対しては、日本の回答者の40%以上が「全ての手続きがオンライン上でシームレスに行えるようオンラインチャネルを改善して欲しい」と回答しています。(図表2)
図表2. Source: McKinsey & Company 2020年6月29日“Financial Decision Maker Sentiment”のデータをもとに日本語訳追加。
新型コロナをきっかけに、オンラインツールの利用者が増え、かつオンライン上でのより良い顧客体験への期待がさらに高まって来ていることが裏付けられています。
業況の不透明感が増す中、このような新型コロナによる顧客心理の変化に積極的に応えるアクションを実行できるか、今後の金融機関の経営手腕が問われることになりそうです。
タイトル画像: Photo by Daryan Shamkhali on Unsplash